しかし、8月に入ると、サブプライムローン問題のヨーロッパへの影響が大きいことがしだいに明らかになってきた。8月2日、ドイツ中堅銀行のIKB産業銀行が、サブプライムローンにからんだ投資で損失を出し、筆頭株主の政府系金融機関が80億ユーロの資金支援に乗り出すことが明らかになった。
同9日、フランス最大手BNPパリバ銀行は、傘下のパーベスト・ダイナミックABS、BNPパリバABSユリボー、BNPパリバABSエオニアのファンドを凍結したと発表した。米国のサブプライムローン焦げ付きで生じた混乱を理由に挙げている。凍結された資産総額は20億ユーロ近くに達するとみられた。
同10日、欧州中央銀行(ECB)はサブプライムローンによる金融市場の不安を沈静化させるため、610億5000万ユーロの資金を短期金融市場に供給した。9日の948億ユーロ続く2日連続のぼうだいな流動性資金の供給であった。 同日、米連邦準備理事会(FRB)も「必要に応じて米金融市場に流動性を供給する」との緊急声明を発表し、2回にわたって合計350億ドルの資金を供給した。
もちろん日銀も同10日、短期金融市場に即日で1兆円を供給する公開市場操作を実施していた。日欧米の中央銀行の必死の対応が、ぎゃくに想像以上にサブプライムローン問題は大きいのではという、不安をいだかせた。